NOTE

― 2005年分 ―


― お守り ―

楽しい時も、苦しい時も

君は変わらずそこに居た。

喋り動くことはなくとも

いつも変わらずそこに居た。

嬉しい事も、辛い事も

映してみせる、そんな君が

好きだった。



― 星 ―

月と陽が昇るあの向こうへ、

土産を持っていつか帰る。

別れの時も、別れた後も、寂しくないよう

繰り返し、君と朝と夜に触れながら

眠らない、夢をみる。



― 日廻り ―

姿を消した、君を探しに行ける自由。

繋ぐ事の出来ない不自由が、日々を活かす。

今度は貴方が、昨日の私を捕まえて。



― 終点 ―

答えが出れば、終わってしまう。

君との旅も続けるなら

迷うくらいが、丁度いい。



― 正体 ―

憂鬱なのは、

その問いに答えが無いからでもなく、

独りでも、二人だからでもなく、

借りた本と映画が悲惨だったからでもなく、

たぶん。季節の変わり目だからだ。



― 幽玄の価値 ―

はじめて、

鏡の中を見たとき

君の名を想像したとき

物が壊れる事を知ったとき

僕は、生きて行くことを決めた。



― 瓦礫の王様 ―


今日に立つ、

僕自身が終わらない謎。

これほど危険で

どれより面白い問題なんて

ほかに無いね。



― 沈まない太陽 ―


高い壁に心は躍り

向かい風でハートに火が付く。

理由などそれで十分だ。

甘く切ないアイスが溶け切る前に

私はきっと、向こうの空を獲って来るよ



― 回転率 ―


周りは割りとやさしい。

立ち行かないカラクリも

どこかで誰かが改良してる。

今日も昨日も、君が喋りにやって来る。

笑い怒りながら明日もきっと。

世界は割りと、僕らに優しい。



― 写生 ―


読めるだけの本を取り込んだって

自分の名前がわからないなら

いっそ僕を本の中に閉じ込めて

誰かが読んでくれたら

面白いのに…



― トレイン ―


何も感じない訳じゃない

君は平気な振りが上手いだけ。

だけど私は知らない振りで

このまま一緒に、この勢いで

約束の場所へと駆け抜けたい



― 遭遇 ―


自分の中の異星人

ファーストコンタクトでしくじった。

逃げる影を追いかけ、捕まえたなら

たとえば、

会話もできるだろうか?



― 保護 ―


風が怖いと、時計が怖いと、月が怖いと

君が泣く。

扉を閉じても、時を止めても、あの、月を消しても

君は泣きやんでくれない。

守りたいのに…。

君が何を言っているのか

僕は、…解らないんだ。



― キキミミ ―


きこえない声を聴くため耳を澄ます。

音の波を掻き分けて

隠した言葉を知る為に。

届け物を受け取る為に。

言えないものを、視る為に。



― 未練 ―


今ここに立っているだけで

知らない明日を潰してるって、本当は知ってる。

別れた未来を埋める為、

それに似た過去へと思いを馳せて

気付かぬ振りをしてるだけ。



― 穏やか ―


つまんない位の当たり前が

緊張感ない眠りへ私を誘う。

そんな

続きのあるような気がする安心感。

いつまでも…



― 目覚め ―


その目に映せ、終りと始まり。

変幻自在のこの世の中を

現実へと、変えてく為に。



― 朧 ―


遠くから喋っても、聞こえないよ。

姿を見せたら信じてあげる


目覚める前に

もう、少しだけ。…待っているから。



― 0.5 ―


せっかく同じ夢が見れたんだ。


これから先、


何を分けたら楽しいだろう?



― カタリ ―


使い捨ての嘘と一緒に


渡って歩く。


世界が、俺の為にあるように。



― 足跡 ―


巻き戻すように、早送るように、繰り返すように。

それは開く事も、閉じる事も自由自在。


変わらず、色あせず、終わる事なく続いてく。

君の中に、僕の中に、貴方の中で。


辿りなぞれば、いつまでだって響いて消えない。



― 創造主 ―


独りでいたい

だけど一人はつまんない

手当たり次第に種を捲いて

何かが育つ事を待っている


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