NOTE


― 天地 ―


天を裂くような、君の叫びを聴いた気がした。

その怒りは、僕の身を震わせ

一瞬、名を思い出させたような気もしたけれど、

振り向かず、地を歩くように這い続ける。

そして君は、いずれ天に手を伸ばし、届き触れるのだろう。

叶うならば、そんな夢が良い。

僕は、ひたすらに、地を、裂きながら。

どれほど目を逸らし続けても、

夢は、要らない。


― 夜明け ―


解れて壊れた袖は、あげましょう。

果てから落ちたのは、君か僕か。

満天の星空は夢から醒めて、

繰り返し手繰りに砂の中へ。

紡ぐまほろば、辿りながら。




― 諦め ―


何かの終わりを告げるかのような、

黄金色の光。

別れを言えない僕に

帰れ帰れと焼き付けて。

まだ、続くのだと言うように。




― 縁 ―


跳ね続ける鞠。意味なんてない。

重力と遊びながら。

楽しみながら、

喜びを一瞬焼き付けてさようなら。

明日は続くか、

知らないまままた明日。

また逢えたら、同じ笑顔で

こんにちは。




― 深夜 ―


何処まで壊れるか試してみようか

もう戻れないなら、戻らなくていい。

わからないなら、

もっとわからなくなるまで。

どうせ行くなら終着点は二度と夢も見ないよう、

満天の星空。




― 箱庭 ―


君とい言う楔で、僕の魂に体を

与えて触れて名前は首輪。

悦びも痛みもどこにも往けない小さな世界。

愛せよ愛せよ一瞬の、

寄り添う夜の煌きも。




― 切れ端 ―


信じているから壊したくなる。

信じていないから、求めたくなる。

紐を、結びつけて。




― 色彩 ―


雨の日も、風の日も

花は咲いて、謡う。

想いの行方も、

知らないままで。




― 果て ―


どう、仕様もない。

泣きながら、笑った。

それでも

生きている。




― 雪 ―


僕と空の隙間に何があるだろう?

降り続ける魂、

いつまでも

どこまでも。




― 憧憬 ―


同じ時の上を流れてる君と僕。

それだけ。

ただ、それだけ




― 穴 ―


笑った気がする、

泣いた気がする、

愛してみた気もする。

果てない道を撃った弾丸は

君の胸に、届いたろうか?




― 天辺 ―


無神経な青い天

魂閉じ込める蒼い檻

陽が照らす憂鬱振り払って

何も知らない向こう側へ。

近づきたくて、脱け出したくて。




― 小鳥 ―


何を信じたらいいのか判らなくて、

目を閉じたら見えた、君の声。

ちゃんと知ってる、心の行き先。

全てが嘘でも、進むんだって。




― 薄明光線 ―


誰もいない。

僕と空だけ。

呑まれて、

雲が息を吐く。




― 遠吠え ―


月の裏側から吠えてみる。

いつか、

君に届く夢をみながら。




― 線 ―


ばら撒いた、君の未来。

あとは一つ一つ、

拾ってゆくだけだったはずなのに。

どこへ消えて、しまったんだろう。

ここは渇いた風が吹く。

まるで最初から、

何も無かったみたいに。




― 流れ星 ―


優しい心を傷つけて、

柔らかい心を縮ませて、

深い穴に落ちていく。

誰か、あの子をつかまえて。




― 透明 ―


忘れるままに思い出してよ。

歩いた日々と風の温度を。

忘れた後にも残っているよ、

君の過ごした夢の残り香。




― 破片 ―


砕け散った硝子のココロ、

君のだろうか?僕のだろうか。

混ざってしまえば、もう分からない。

光差す場所に置いておこう、

きっと綺麗に見えるはず。




― 森 ―


ずっと出口を探してた。

風が吹くたび、心が揺れて

光に惑わされて、

違う国へ。

誰もがそこへかえって行っても、

君は今日も、探してる。




― 夕陽 ―


君はひとり、今日もひとり、

道の真ん中を歩き続けている。

朝も昼も夜も

ずっと、ずっと、ずっと。

過ぎる僕らの声を聴きながら。




― 藍 ―


宇宙という名の幻想に、今日も歌はうたわれて、

誰かがみている夢の路。

夢の中の夢の道。

どこまで時は、続くでしょうか




― 葉隠れ ―


散らかした言葉の中に、

ボクを隠して、

散らばった言葉の中から、

キミを探して、

もっと近くへ、互いの姿を見つけ合うんだ。




― 小箱 ―


言えない想いの全てを、

ここに込めるよ。

いつか目覚める日まで…、

おやすみ。



― 永い日々 ―


追いかけて、追いかけて、

やっと捕まえたのは

あなたの残像。

もうとっくに消えてたとしても、

走り続ける、長い影。

追いかけさせて、君のマボロシ。



― HOME ―


駅の頭上で揺れては浮ぶ紅い月。

今日もご機嫌、

酔った口調で語りかけるわ

人間の声で。

右へ左へ、二重に三重。

訊ねるように、誘うように。

今日こそ上手く答えられるかしら?

私は私の、行くべき場所を。

(…明日は上手く、抜け出せるかしら?)



― ツバサ ―


ひとつ、羽でもはえたら

行ってみたい場所がある。

君のかわりに、世界の果てへ。

ふたつ、羽でもはえたら

僕はここへと戻らない。

空の滝でも眺めたら、一足先に

花でも育てて君を待とうか。



― 天空 ―


弱きものの、

息も絶えろよと青い空。

問いかけみたいな

謎を残して、今を見下ろす。



― 意識 ―


善人だって、構わない。

それであの娘も喜ぶのなら。

嘘つきと呼ばれても、構わない。

だって、僕は悪党だから。

その場の限り、夢をみようよ。



― スケッチ ―


同じ景色を瞳に入れて、描きだす色は尚違う。

僕にはみえない、君にみえる。

君にはみえない、僕にみえる。

繋いだ手が映すのは、

今日も綺麗な、この世の幻。



― ノイズ ―


明日へと向かう、全員の足音。

毎日息をしていることも忘れながら走るのだ。

目を閉じれば、音が聴こえる。

誰も知らない、音が聴こえる。



― 生まれ変わり ―

一生は一度。

人生は何度でも。

永遠が、一瞬に変わるとき、消えた想いは星に変わって

遠い空から僕らを見てる。



― 問答 ―

ぽつりぽつり

生まれる疑問に、

意味はないのだ。

生み出すきみが、価値なのだから。



― 夕陽 ―

ずっと、終りを探してたんだ。

なんの終りかは、まだわからないけれど。

視線を上げたら僕にはみえる。

答えを誘うような赤い光。

昨日を越えて、明日を越えて、

今日を越えて。



― ひと休み ―

あまりに楽しかったから、

報われるんじゃないかと、期待を抱いた。

初めての夢。

振り返れば、 甘い記憶は思い出にかえて

微笑みに変えて、今日は続く。



― 緑 ―

どれだけの長い間、灰が降り続けても

僕らは知ってる、

蒼い空と碧い海を。

忘れていても、知っている。

ここに今日、僕らが在る限り。



― スケッチブック ―

きみが青いと言ったから、ぼくの空は青いのだ。

晴れて眩しい。

もしも、あのときぼくが赤と言ったなら、

きみの空はきっと今ごろ

何色だろう。



― モンスター ―

美味しいものが読みたくて、

美味しいものが聴きたくて、

今日もお腹が空いている。

まだまだまだまだ

ごちそうさまには、程遠い。



― 星 ―

囚われの過去に付き合って、

今日も君はかごの中。

キミの未来は、過去より

もっと長い、はずなのに。



― 魔法 ―

僕の言葉と、君の言葉。

混ざり合って、テレパシー



― 夕暮れ ―

ひかれた線を飛び越える。

遠くから笑い合うのは簡単なのに

同じ手を繋ぎ続けるのは難しいんだ。

俺の為に好きだと言って

一番好きな花を、持って行くから。



― 花火 ―

祭りが終わって、

最期の光を見ながら

君との距離を測ってる。

見えなくなっても咲く花が、

貴方の中にも、伝わるように。



― ペイン ―

逃げ続けるのは

あきらめて、いないから。

悩むのは、真剣だから。

それは誰も知らない、

新しい道を、拓くため。



― ギフト ―

誰だって、探してる。

何時だって、願ってる。

自分だけの特別を。

ここに在るって、答えのように。



― 焦点 ―

すべてはたぶん、あるものないもの同じこと。

なんでも映す君の瞳に

今日も僕の目は写ってる。



― 開拓者 ―

靴の裏に絵の具を塗って

歩けば完成。私のレシピ。

ここから、そこまで

今から始まる、未来に手紙を。



― ヒーロー ―

捕らわれの結末を救い出せ。

知らない心に

触れたとき、僕等は一瞬

風になる。



― 彗星 ―

君しか出来ない事がある。

廻る星の結末に、

哀しい答えが視えたとしたら

こぼれた滴は僕が拾おう。


君にしか、できないことがある。



― 記憶1 ―

思い出は、

風に乗った砂のように

君を連れて昨日の向こうへ

過去の名前で

此処より先へ



― ハミング ―

きみを嫌いだと口にして

きみの歌を隠れて聴いた

きみになりたかったあの日

自分を見つけたあの日。

今、きみの後ろで少し鼻唄。



― 浄化 ―

夢から醒めても君が好き。

この手の紅が落ちたなら

今度は僕からもう一度…、

顔を見せに行こうかな。



― 停留所 ―

生きてるって、偉大。

とまることなくいきている。

きみも、あのこも、あいつも、わたしもここで。

どうしようもなくいきている。



― 地図 ―

誰も知らなくても、僕は感じる。

誰かが僕を呼ぶ声を。

羽が生えた勢いで、このまま地面を駆け抜ける。

終りは無いからどこまでも。

聴こえるままに、どこまでも。



― オーバータイム ―

真っ白な雪。

一番最初に飛び込む勇気を私に下さい。

せめてずっとずっと待っている

あの人の下へ、行くために。



― 月 ―

目の眩む、光の中

たった一つ

小さな夜を待っていた。

僕を一瞬、包み

輝かせる喜びの刻を



― 遊歩道 ―

君と僕の幸福を

ささやかに祈る。

そんな日々の繰り返しを

いつも。

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