― 蜻蛉一号 ―

振り向いたら、歩けないよ。

待っていても、潮の風に体は錆びて。

微かなくつ跡も波にのまれる。

おなじ気がした。

たとえば君は僕で、僕が君。

同じ場所で生まれて、違うところで生きるんだ。

だから歩いて。

心はそのまま、行けるトコまで。

憶えているよ。

君の記憶は、僕が引き受けるから。


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