― 蜉蝣二号 ―

延々と続く砂浜は、

どこまで歩いても、時が止まったままのような鉛色で。

波打ち際に転がった、

ぼくと同じ錆びた赤銅の塊には、

音も無く繰り返しさざ波が打ち寄せていた。

心を引きずるように、足あとを繋げる。

空も、地面も、海も、同じ臭いがしていた。

取り残された、確かな命の幻影が、

失くした世界の色を探して嘆いてる。




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― 薄明光線 ―

誰もいない。

空と僕だけ。

呑まれて、

小さく、雲が、息を吐く。




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― 彼 ―

隣に居たって風は吹き抜け、

それでも君に逢いたい

広がる穴も。

淋しいだけじゃないって生きてるみたいに。





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― 彼女 ―

何も望まないあなたに何を願えばいい?

置いていってしまわないように、

ずっとずっと手を繋ぎたいけれど。

叶わないならせめて

言葉に想い絡めて。




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― 森 ―

ずっと出口を探してた。

風が吹くたび、心が揺れて

光に惑わされて、

違う国へ。

誰もがそこへかえって行っても、

君は今日も、探してる。




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